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電力取引を支える
システム開発の内製化

電力市場取引の
高度化・自動化を実現する内製開発

変化し続ける
市場環境への即応性の追求

東京ガスグループは2000年より電力事業を開始しました。2016年の全面自由化をきっかけに低圧電力小売りにも参入し、新電力としては国内最大級のお客さまを獲得しています。電力調達にあたっては、自社の発電所や他新電力との相対取引に加え、市場取引も活用しています。電力は大量に貯めておくことが難しいため、需要と供給を一致させて安定供給を維持するためにも、柔軟な調達が可能な市場取引は重要な役割を果たします。
市場における取引価格は、需要と供給のバランスによって変動するため、よりリーズナブルな取引を行うためには、発電量・需要量・各市場における取引価格を精度高く予測できることが重要です。一方で、近年では天候の影響を受けやすい再生可能エネルギーの普及拡大が進み、予測の難易度が上がっています。加えて、発電量以外に、発電出力の調整力や将来の供給力を取引する新たな市場も開設されつつあり、取引の複雑性も増しています。
めまぐるしく市場環境が変化する中、お客さまに安価な電力を安定的に供給するために、東京ガスグループでは電力取引システムの内製化に着手しました。アジャイルに開発を進めることで、高度な予測ロジックの適用、継続的なリリースによる更なる収支改善を目指しています。

高度な予測ロジックを
実現する
アジャイルな開発体制

電力取引システムを開発するためには、発電、小売、市場取引、制度といった広範囲の事業領域に関する知識が必要となります。前述の通り、市場環境は変化が著しく、新市場の開設や、新たな再生可能エネルギーによる発電所の運用開始など、日々複雑化が進んでいます。このような環境変化に迅速に対応できるようにするために、各種予測や発電所の稼働計画の立案システムを内製に切り替えました。各予測システムは社内の開発メンバーがPythonを用いてアジャイルに構築したものです。これまでに経験のない業務に対し、東京ガスグループ内の関係各所と協力しながら果敢に取り組むと同時に、高度なデジタル技術を持つエンジニアの採用も行い、積極的にレベルアップをはかってきました。
発電と小売の両方の顔を持つ東京ガスグループは、発電と小売の双方の取引を統合・最適化する必要があるため、複雑かつ難易度の高い取引を実行していくことが求められます。多岐にわたるデータを駆使して発電量・需要量・市場取引価格を予測し、自社の発電所の稼働と市場取引分を確定の上、それぞれの立場で市場取引を行います。考慮すべき項目は、気象予報、電力市場価格、発電所の稼働状況などの外部データ、自社の相対取引、市場取引、お客さま需要、自社の発電量等の実績値などの社内データと広範囲に及びます。また、連携すべき関係者も市場、発電事業者、電力広域的運営推進機関といった社外関係者はもちろん、東京ガスグループの発電部門や営業部門など数多く存在します。
かつてこれらを人の手で対応していた時は、それこそ毎日が戦場のようでした。自動化のためのシステム開発を進めた結果、業務スタイルは劇的に変わりました。これに伴い、取引の鍵を握る予測ロジックの向上に注力できるようになったことにより、精度は飛躍的に向上しました。

エネルギー取引の変革へ

今後は、発電所稼動との連携、新たな市場開設への準備、自社の発電の燃料となるLNGの管理との連動など、システムのさらなる高度化・拡張を進め、より多くの価値を生み出せるシステムへの進化を目指します。
再生可能エネルギーの導入が進み、発電燃料を取り巻く環境が一層不透明な中にあって、お客さまにリーズナブルな電力をお届けするために、電力取引は今後も進化し続けていく必要があります。自社および他社の発電関連設備や次々に開設される市場はもちろんのこと、工場・ビル・ご家庭などに分散する多種多様な分散型電源、燃料調達などが効果的に結びついていくことにより、より最適化された、価値の高いエネルギー取引が実現できるものと考えます。我々の電力取引システムの開発を通じて、エネルギー取引の変革を進めていきます。